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【考察とポイント】

内容証明で、すべてがすぐに解決するなどとは考えないことです。

(受け取る会社側にも言い分があるはずですから。)

 

それでも、建設業の会社に内容証明を自分で書いて出す場合は、次の条文に触れると効果が期待できます。

 

建設業法第41条の2、

 特定建設業者が発注者から直接請け負つた建設工事の全部又は一部を施工している他の建設業を営む者が、当該建設工事の施工のために使用している労働者に対する賃金の支払を遅滞した場合において、必要があると認めるときは、当該特定建設業者の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事は、当該特定建設業者に対して、支払を遅滞した賃金のうち当該建設工事における労働の対価として適正と認められる賃金相当額を立替払することその他の適切な措置を講ずることを勧告することができる。」

 

これは簡単に言うと、国土交通大臣又は知事は、元請け業者(特定建設業許可業者)に、下請け業者が労働者に賃金を払っていないので、元請けさんが賃金を立て替えて払いなさいと勧告することができるという意味です。

※あくまで元請が特定建設業の許可を持つ業者の場合です。元請が一般建設業の許可業者の場合は適用されません。

全国に支店や営業所がある名の知れた有名なゼネコンは特定建設業許可を持っているはずです。HPで出していると思います。

 

内容証明等に「建設業法第41条の2に基づき立て替え払いの勧告を国土交通大臣又は知事に求める」という文言が入っていると、受け取った側が条文を調べればこれはまずいと思うでしょう。

 

特定建設業許可を持っている元請業者は賃金未払いなどやりません。(おそらく)

先述のA君の会社は孫請業者で、元請けは某大手セネコン(特定建設業者)でした。

元請会社に、賃金未払いのようなことをやっていることがばれると下手すれば仕事がなくなる可能性だってあります。

 

但し実際に、この条文をもとに立て替え払いの勧告を求めても「必要があると認めたときは」と条件付けされていますので、役所が勧告を行うかどうかはわかりません。しかし、法律でこのような規定があるのですから、堂々と使えばいいです。

 

もちろんA君の勤めていた会社へ送った内容証明にこの条文を盛り込みました。

労働基準法違反だけでなく、建設業法的にも問題になっているというこを社長に知ってほしかったからです。

 

※具体的にどう書いたかは、後日アップする予定です。


A君の勤めていた会社の社長も、受け取った次の日に慌てて連絡してきているので、やはり効果はあったのだと思います。

しかし、この条文を使うことは言い方を変えれば、ある意味戦線布告です。

この社長が「おどしやがって」と怒ったことでよくわかります。

 

その意味で、やはり内容証明を先に送るのではなく、まずは労基に相談すること勧めます。

労基に相談して担当の方から文章を送りなさいと例文を貰えると思います。相手にもよりますが、その例文に上記の条文を加えることもいいと思います。 

 

なお、労基に相談すれば100%解決するという期待は持たないようにすることです。

調停や裁判を勧められることになる可能性も高いと思います。

相手に払うお金がなければ、誰もどうすることもできないです。強制執行するには裁判で勝訴する必要があります。

そうなると弁護士さんに相談となります。ご自分で雇用問題に詳しい弁護士さんを探すか、法テラス、各都道府県にある弁護士会に問い合わせてください。

 

「給料いりませんから辞めさせてください」と言ったA君は労基に相談することによって救われました。

労働基準監督署に相談に行くことは怖くありません。ただ、電話で相談などしないようにしましょう。担当の方に真剣な思いをきちんと伝えましょう。

 

もし、同じ職場で同じように給料未払いで苦しんでいる人がいるなら一緒に行くべきです。

たくさんの人がそのような状況にあるなら尚更です。

とにかく自分で動くことが大事です。